2007年07月28日

小説「コロッケ」を読んで

緋川小夏作「コロッケ」
(新潮社主催の「第3回R-18文学賞」の最終選考に残った小説)
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「パチパチパチパチパチパチ」  626.gif

初めて拝読させて頂きました。

普段、小説を読む習慣がない私ですが、
ついつい引きずり込まれてしまいました。
触りだけつまみ食いしようとしただけですが、
二幕目でユキちゃんの仕事を知ってからは、
三幕、四幕…、結局面白いので終幕までいってしまいました。

もう何年もご無沙汰ですが、
実は、私はストリップが好きなのです。
衒わない総合芸術であり、人生の縮図であり、裏街道であり、
パンドラの箱であり、母体回帰であり、神社仏閣です。
あまり出歩く機会はない私ですが、地方に行けば、
ぜひ訪ねてみたい所が、ジャズ喫茶と寺社と猫のいる界隈と、
ストリップ劇場です。
思い起こせば、19歳で上京後まもなく好きものの先輩と
会社の軽トラックで松戸のストリップ劇場「大宝」へ
行ったのが初体験でした。
その時の言うに言われぬ衝撃は、今でも克明に覚えています。
闇に映える赤い花園の香りは芳しく眩いばかりでした。
その後、横須賀、横浜、新宿へも行きました。
時に和服の日本髪の年増ストリッパーは寂れていて同情しました。
そして10年後は、京都の東寺で立体曼荼羅や五重塔を
拝観した足で、近隣の東寺DX劇場へハシゴしたのでした。
この時撮ったポラロイド写真は、わが宝物となっています。
それから奈良で志賀直哉亭や大仏や阿修羅像を拝観した時も、
夜は一人で市内唯一のストリップ劇場へ行きました。
老いも若きも外人も濡れ弁天信仰願望とう一点集中は同じで、
人間皆兄弟と実感できる聖地そのものであります。

ということで、「コロッケ」の物語は、何をどう見せて
くれるのだろうと、わくわくしながら読み進みました。
物と心と、その交じり合いが、分かり易く印象的なイメージとなって、
わが脳裏のスクリーンに投影され展開されました。
惜しむことのない情交場面の描写、あくまでもユキに徹して…。
その状況の違いによって変化する感情と、
その高まりの相違と同一性の背反するリアリティ。
ユキのキャラクターは、正にサービス精神豊かな
小夏さんそのものだと思います。
アウトサイダーにスポットが当てられた
ペーソス漲る物語の虜にさせられました。
意表をついたオチながら、その日常回帰に何故か安心したのでした。
台所でコロッケを揚げている小夏さんの後姿を想像して、
私も夢から覚めました。

「お母さーん、おなかすいたよ、コロッケまだー」  27-2578
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※当レビューの初出は下記サイトのコメントです。
▽「コロッケ」最終話
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posted by 二健 at 19:47| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 小説・随筆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月23日

「サムライ画廊1」総括

sg-konatu.hara02.JPG sg-konatu.hara006.dsJPG.JPG 496611941_112.jpg

sg-konatu.hara009red.JPG sg-konatu.hara005.JPG sg-konatu.hara008bl.JPG 

sg-kh (2).JPG桃色川柳 「ひみつの花」 緋川小夏

  手のひらの中で濡れたる穂先かな
  絡まりて肌に食い込む赤い糸
  目を閉じて久方ぶりの君を味わう
  ため息が突かれるたびに押し出され
  居酒屋で抱いてと言えずに芋焼酎
  手折られるこの悦びに萌える春
  戯れと知りつつ溺れる情けかな



  sg-konatu.hara003.JPG
  私は写真を使って sg-konatu.hara004.JPG
  時間や空間や色々なものを 
  切り取ってしまう 
  私はとても欲張りだから 
  とっておきたいのだ 
  ここで出会ったできごとを 
  一枚の写真に凝縮させて…
 

    はらけいこ With Love 黒ハート 
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第1回目の「サムライ画廊」が終了しました。
東京幻想倶楽部を主宰する麿監督の企画した
「映像解放区7.15」の一環として、
緋川小夏氏とはらけいこ氏の共同写真展が
「サムライ画廊」の先鋒として行われました。

同展に注目された方は、「映像解放区7.15」の方々と
スタッフはもちろん、展示者の呼びかけで来られた数名の
お客様を始め、当店の常連さんでは、
摩有様、みっきぃ様、めぐみ様、未来様(出展希望)、
ギネマ様、協様らでした。皆様夫々一芸に秀でた方なので、
思う処は存分にあったことでしょう。
皆様は同展の証人なので、会った時にでも感想を聞かれると、
参考意見を宣ってくれるでしょう。

私が一番長い間鑑賞した訳ですので恐縮ですがちょっと感想を。
お二人の躊躇せぬ実行力と、瑞々しい感性に裏打ちされた
勢いの良い作品に感心しました。
構えず、背伸びをせず、等身大のストレートパンチのようで、
清々しい爽快感が感じられました。
こういうまたとない機会を生かした柔軟さと好奇心を、
いつまでも持ち続けたいと思いました。
花に取材した小夏作品の写真も川柳のあっけんからんとした秘密性、
しいては、その扇情性に凭れているかのようですが、そうではなく、
寄り添って遊んでいる無邪気さを新奇に感じて微笑ましくさえ思いました。
エロスのトリックスターとでも言いましょうか。
片や、はらけいこ作品に登場する人物、特にその全身ないし部分と、
その背景の描写から読み取れる感情の綻びのナチュラルさ。
今ここにこの現実に身を任せる者同士の、佇みと移動の浮遊感を
噛み締めるかのような詞藻のあしらい。
女性と子供の放つ吸引力のエナジーに吸い込まれます。
展示の壁面に向かって左翼の小夏作品のエロス。
対して、右翼のはらけいこ作品のほのぼのとしたアガペー。
愛の角度は違えども、求心力は同一点に向かっていた
神話的写真展でありました。  26-2525
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▽初出:ブログ「サムライ画廊」
 http://samurai-gallery.seesaa.net/

posted by 二健 at 17:25| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(2) | 写真 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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