2006年11月13日

「ウィーン美術アカデミー名品展」へ

rubens09.jpg 20060703_01.jpg 20060703_02.jpg

11日月の第2日曜日は、地図子さんから「是非行きなさい」ともらったチケットで、
ヨーロッパ絵画の400年「ウィーン美術アカデミー名品展」なるものを
観に行ってきました。最終日なので、混むのではないかと思い、
朝一番めがけて行きました。途中、朝食と昼食を兼ねて思い出横丁のつるかめ食堂で
腹ごしらえしてから臨みました。朝から食堂で酒飲んでご機嫌なご年配がいて
賑やかでした。私は好物のポテトサラダと天ぷらの定食を食べました。
目指すは、新宿西口の高層ビル42階の「損保ジャパン東郷青児美術館」ですから、
目と鼻の先です。早起きをしたので朝日が眩しかったですが余裕綽々でした。

エレベーターを一台待つ程度の混みようなので、たいした混雑ではありませんでした。
この夏に竹橋での藤田嗣治の展覧会の最終日に行った時は、長蛇の列で参りましたが。
今回の展覧会は、いろいろな名も知れぬ画家(私の無知)の寄せ集めで、
焦点が定まらなかったですが、全体として何となく雰囲気が分かりました。
ありとあらゆる油絵が80点位展示されていて、ウイーンに行く手間を考えれば、
大変ありがたい展覧会でした。ルネサンスの美術といってもぴんと来ませんが、
人間やその社会性の表現が濃厚になったのでしょう。
ウィーン美術アカデミーのコレクションで、女帝マリア・テレジアに仕えた
ランベルク伯爵から遺贈された絵画が基礎となっているのだそうです。

先ず、ヴァン・ダイクの小品「15才の自画像」(油彩・板)。見返り美少年。
何となく弊店に来る歌人の山下氏に似ていて苦笑しました。
ルーカス・クラナハ(父)の4点は板絵で、それと知らなければ気付かないで
通り過ぎてしまいます。「テンペラ・板(オーク)」などと表記したありました。
初めは額縁が板なのかと思って納得してましたが、キャンバスが板でした。
クラナハの「不釣合いなカップル」は、老人と若い娘が頬をよせあっている
羨ましい作品。同「ルクレティア」は、色白な全裸の女性が腰をひねって
バランスを取っているもの。
ペーテル・パウル・ルーベンスの「三美神」(油彩・板)には暫し見惚れました。
大きな花盛の器を共同で頭上に持ち上げている三人三様な裸婦の絶妙さ、
普通裸婦は寝そべっていたり、ただ立っていたりしているのが通り相場ですが、
この絵は力仕事をしています。だから筋肉の働きが全然違うのです。
力技の裸婦三体とは恐れ入りました。場面は鬱蒼とした森の中で、
画面の中央右に菱形にくり抜かれたような明るい空が描かれていて、
あたかも子宮内で戯れる三つ子の妖精のようでありました。
また、足元にも無造作に花が散らされていて、インドのリンガ崇拝を思い出しました。
本展のポスターになっているレンブラントの「若い女性の肖像」の、虚ろな瞳、
やや猫背、ぎこちない手の置き方などに、飾らない人間味を感じました。
旧来の建て前はなく、ありのままを描いてありのままの心を表現されたかのようです。
それにしても繊細なタッチのエリザベスカラー。一見年齢不詳に見えますが、
以上の理由で清楚で純真さが引き立てられていますから、
やはり若い女性ならではの美しさを描いた特筆すべき一枚です。
それと比べてマルティン・ファン・メイテンスの「女帝マリア・テレジアの肖像」の
なんたる威厳と貫禄ぶりでしょうか。座位で仰け反っているかのようです。
肉感も圧倒的です。女帝は「綺麗に描いてよ」と命令しているようです。
画家は「はい畏まりました」とひれ伏したのでしょう。
ドレスのレース模様をもの凄く緻密に書き上げていて驚きました。人間業の粋です。
作者は違いますが「若い女性の肖像」と「女帝マリア・テレジアの肖像」は、
女性像の対極にあると思いました。
こう比較すると人間に対する諧謔が浮き立ってきます。
娘の虚ろで清楚や恥じらいに対して、女帝の威風堂々とした風体。
それぞれ闇雲に誇張することなく、卓越した技で奥ゆかしく描かれていて感服しました。
渋い色調でありながら、リアリズムを突き抜けた人心の真の光が輝いておりました。
ピーテル・ブールの「地球儀とオウムのいる静物」の布や金属皿の質感のリアルさにも
度肝を抜かれました。
メルヒオール・ドンクーテルの「番の孔雀」「争う鶏のいる庭」の孔雀の羽などの
描き込みは、それはそれは見事なものでした。今回の作品に登場した動物たちは、
押しなべて厳しく生きているものばかりで感慨深いものがありました。
ヤン・フェイトの「猫の習作」(17世紀)は、筋骨逞しい山猫6匹が、
皆怒っているポーズで異彩を放っていました。立ち上がった猫や仰向けになった猫もいて、
遥か昔の日本の鳥獣戯画(12世紀〜13世紀)を彷彿しました。
ルーベンスの助手とヤン・ウィルデンス「乳を飲ませる牝の虎」は、
画面いっぱいに厳つい母虎が小虎に授乳している姿ながら、
地べたに葡萄が散らしてあって奇天烈でした。虎は葡萄など好きではないはずですから。

その他諸々ありましたが、切りがありませんのでこの辺でお暇します。
今のように便利な機械を使わずに、筆と絵の具で描き表した昔の人は、
つくづく偉いなと思いました。いいものを観ると又一つ賢くなったような気がします。
常設のゴッホのヒマワリとセザンヌのとゴーキャンのと、
皆本物の3点の絵とは久しぶりの再会でした。
暫しのお付き合いありがとうございました。

rembrandt28.jpg go_362_04.jpg meytens61.jpg

______________________________________
20060703_top.jpg 20060703_05.jpg go_362_05.jpg

□展覧会インフォメーション

会  場=損保ジャパン東郷青児美術館
 http://www.sompo-japan.co.jp/museum/
会  期=2006年9月16日(土)〜11月12日(日)
開館時間=10時〜18時
(構成)
1.クラナハとアルプス以北と以南の初期板絵
2.ヴァン・ダイク、ルーベンスと17世紀フランドル、オランダ絵画
3.スペインとイタリアのバロック絵画
4.黄金時代のオランダ絵画/社会と風俗画(レンブラントなど)
5.黄金時代のオランダ絵画/オランダとイタリアの風景画
6.黄金時代のオランダ絵画/静物画
7.18世紀のイタリアとフランス/ヴェネツィアと南欧
8.18世紀のオーストリア絵画
9.19世紀の新古典主義からアカデミーとビーダ−マイヤーの絵画まで
10.リングシュトラーセから近代精神の覚醒まで

□参考URL
「美術散歩」
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/index.html#bijutsusanpo

「Fuji-tv ART NET:ウィーン美術アカデミー名品展」
http://www.fujitv.co.jp/events/art-net/go/362.html

「ヨーロッパ絵画の400年『ウィーン美術アカデミー名品展』/展覧会/イベント/読売新聞」
http://info.yomiuri.co.jp/event/01001/200602069483-1.htm
19-1799
posted by 二健 at 08:39| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/27354345
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。