2008年05月17日

工藤 桂 サムライ Live vol.2 「詩は、唄われる」

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当日は朝から雨がしとしと降っていましたが、午後には上がったので安心しました。
私への予約の数は淋しかったので、冷え込みを覚悟してましたが、
開演直前には席が埋まって救われました。ゆったりとした満席です。

29年前の当店開店当初のジャズライブで使っていたPA用パワーミキサーは、
当の昔にお陀仏になっていたので、今回のライブを契機に機材を新調しました。
300Wも出せるパワーミキサーの優れものです。
とは言っても、縦長の旧式PAスピーカーは健在なので使い回しです。
そこで一句「千波吉凶使い回しの拡声器」(なんちゃってね)
最新型アンプに年代物のスピーカー、この混ざり具合の調和がサムライ文化なのです。
舞台左右の後方に立てて設置したので、ハウリングが心配でしたが大丈夫でした。
入力の穴は12チャンネルもあるので、三重奏団でも不足はありませんでした。
唄はもちろん演奏も音響もたいへん良かったと思います。
手前味噌や理屈はともかく、お客様がどう感じられたかが肝要ですが…。
当店の形は左右のコンクリート打放しの壁が並行ではないので耳障りな反射音が無く、
内装と観客込みで音の拡散と吸音のバランスが良好です。
しかも天井が造作されてなく、吹き抜け空間なのも功を奏しています。
何といっても招き猫群の不規則なでこぼこが大いに役立っています。

さて、肝心なライブですが、来て見て聴いて下さるのがベストです。
タイトルの通り工藤桂氏のご祖父で詩人の高森文夫作品を弾き語り、
瞽女唄や民謡まで唄いこなし、月並みなフォークソングではありませんでした。
正に私たちの拠って立つ処に根ざしたギター弾き語りの唄でした。
フォークとは元来そういうものだとつくづく思いました。
それと、斎藤シュン氏の電気ウッドベースと、
ジャンベ(一枚革のアフリカの太鼓)での伴奏、
特に若い大口俊輔氏のアコーディオンの伴奏と、
ピアノソロ(自作のワルツの一曲を披露)の参加。
そういった変化と好条件が揃ったライブで申し分なしでした。

当店の「SAMURAI LIVE」では11回目、工藤桂の「サムライLive」は2回目でした。
今後とも有意義な小規模ライブやトークライブなどやっていきたいと思います。
ご来場下さった皆様をはじめ出演者の方々、どうもありがとうございました。

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※工藤桂の横顔:1983年生れ。東洋大学インド哲学科在学中にギター弾き語りを始める。
自作自演の他、舞踏家森繁哉の縁による瞽女(ごぜ)唄や詩人作品を弾き語る。
中原中也と親交の深かった宮崎県の詩人高森文夫を祖父にもつ。
サムライでは、2007年3月22日、弾き語り「枕のない夜」を行って高評を博した。
今回は、1年越しの2回目になる。

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■日時: 2008年5月11日 (sun)
     Open14:00/Start14:30
■出演: 工藤 桂 (Vo, G, P, Harmonica)
     大口俊輔 (Accordion)/斎藤シュン(B)
■会場: JazzBar サムライ                 31-3606
posted by 二健 at 23:37| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月27日

工藤桂の弾き語りに接して

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春分の日の翌日の2007年3月22日(木)。
午後7時より新宿のJazzBar サムライにて。
サムライでは初舞台となる。

同店を金曜日に手伝っているギネマが、
音楽活動の場で工藤桂の音楽に感銘を受け、
縁を得たという手蔓でここに至った。

生では初めて耳にする一青年の弾き語り。
主な手持ち楽器はフォークギター。
しかし巷のフォークとは一線を異にしたものだ。
詞も唄う口調もよくある西洋風のそれではない。
ハーモニカを口にするが然りである。
一曲は据え付けピアノで弾き語った。
後半、カリンバ奏者HIROYUKIとの共演。
一曲一曲の入魂の味わいはもとより、
建前は独演ながら変化に富んだ構成も功を奏して
終始満場の観客を魅了した。

私は、どこぞの産土神にまつわる唄ではないかと感じた。
あの時代、この風土に吹き渡り、変幻自在に戦ぐ
東風ないし涅槃西風のように。
萌え咲いたばかりの草花が揺さぶられる。
目瞑れば、爪弾くものがギターから和楽器に持ち替わり、
いにしえの故国の言の葉をざわめかせる。
木漏れ日が交錯し、律動の波を呼び寄せる。
そんな眩く臨場感のある幻を覚えた。

赤ちゃんから御尊父、そして血縁他縁の工藤家の人々、
学生、楽師、芸人、作家、画家、職人、職員、会社員等、
主客入り混じった交感の夕べ。

いみじくも舞踏がそうであるように、
自身の足元を見据え、掘り下げるほどに
行方は不自由の彼方となることか。
それにも関わらず、行脚を続ける芸人魂。

工藤桂の持ち唄には「松代竈の女の記」という
土方巽門下の森繁哉の作詞の曲がある。
作曲は例によって工藤桂自身だ。

♪ 聞いてくれくれ 婆つき唄を
  唄ってくれくれ 娘つき唄を
  わたしゃ松代山郷の 与左衛門家のよせ名の婆様
  語ってくれくれ 世さ迷い話

  年しゃは十六 顔まだ紅い
  紅い顔なら 赤いべべ似合う
  紅い手など もみじの葉っぱ
  与左衛門 紅い顔欲しい
  欲しゃいとて嫁だ 欲しゃいとて嫁だ
  (後略)

どうやら瞽女(ごぜ)の唄のようだ。
他はどんな持ち唄なのか、曲名だけでも、
工藤桂+蕾裸の自主制作CD「はだかの歌声」から拾ってみる。

1.「ちゃるめら夜唄」 2.「少年」 3.「月夜の子守唄」
4.「縁やら本意」 5.「小さなあの子に」 6.「松代竈の女の記」
7.「ゆっさ」8.「夕暮風花」 9.「縫い子たちの朝」

曲名だけからでも伝わってくるものがあると思う。
ライブとCDで、一二度は聴いたはずなのだが、
まだまだ曲ごとの感想を述べるには至らない。
全体像を、語彙をもって大雑把に捉えるならば、

故郷、山河、季節、伝説、風物、祭、信仰、習俗、
家族、生活、労働等、それら描かれている景色や営み、
さらには心情から情念、躍動、鼓舞、敬愛、憧憬、寂寥、
旅愁、哀惜等へと、如実に聴く者の心の壁へ投影され、
感得に至るであろう。

現代的都会的な恋歌ではなく、すこぶる鄙振の部類だ。
1985年東京生まれ、東京在住の工藤桂が、
何ゆえ鄙歌なのかと不思議がることなかれ、
どこに居ようが、これぞ日本のフォークソングではないか。
宮崎県の北に故郷に持つことの影響も大であろう。
「ちゃるめら夜唄」では蜩が鳴き、
深山霧島が唄い込まれている。
工藤桂が弦を爪弾き、日本語で唄う姿に一度でも接すれば、
時流に乗った流行りものの音楽とは、まったく違うところに、
モチーフなり立脚点を置いていることに気付くであろう。
今後が楽しみな民の唄い手である。

折りしも七十二候では雀始巣(すずめはじめてすくう)頃、
工藤桂の囀る営み、そして大空への羽ばたき。
またいつか出会うことへの期待をもって
私は、私の日常へ戻ろう。

※以上BBS「サムライブルース」より転載
23-?
posted by 二健 at 00:48| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月17日

『ぼくの昭和ジャズ喫茶』の架け橋

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2006年10月中旬の土曜日に著者が来店され同書を賜った。
高瀬氏は昔弊店で行っていたもののふ句会の仲間だった。
大阪へ転居されてからは縁遠くなってしまったが、
映画やジャズ喫茶の本作りや芝居のプロデュースで、
しばしば上京されるようになって復縁した。
氏のお姉さんは、ドイツを中心に活躍している
フリージャズピアニストの高瀬アキである。
cf.↓
※多和田葉子+高瀬アキ「詩人の休日」06.11019
 於東京両国・シアターΧ(カイ)
 http://www.theaterx.jp/06/061119.shtml

時々出版されるこの種や類の本は、
著者を始め、係わる人の熱意のたまもの、
つまり貴重な文化情報の果実そのものだ。
『ジャズ喫茶に花束を』(02年村井康司著)その他もそうであったが、
日本固有のジャズ喫茶文化にエールを贈り続ける本作りだ。
ジャズ喫茶の灯を好んでくれる人達にとって、
これらの本は正にジャズ喫茶の一店そのものと変わりない。
自宅やアパートや学校や会社を離れて、身を寄せる場がある。
その営業形態や有様は変っても、ジャズ喫茶の光りが灯り続けている。
昭和のジャズレコードの鳴る場に交わり通過し、
それに培われた人々の心の拠所が、相変わらずメディアは勿論、
現存するジャズ喫茶でありジャズ本だ。
こうやって、思い出と現実に橋が架けられて、
思うように交通できることは幸せに違いない。
______________________________________

高瀬進著 06.10.10 展望社 1400円+税
第1章 新宿の匂い
第2章 ジャズ喫茶を支えたマスター達
第3章 ジャズ喫茶巡礼
第4章 ジャズ喫茶の名物ママ
第5章 再びジャズ喫茶巡礼
第6章 大阪へ
第7章 ジャズ喫茶クロニクル

▽紀伊國屋書店BookWeb
 https://bookweb2.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9981241652
▽Amazon.co.jp
 http://www.amazon.co.jp/gp/product/4885461642

18-1712
追記を読む
posted by 二健 at 22:51| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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